大手医療相談プラットフォーム「AskDoctors」や小児科の外来診察室には、毎シーズン夜間から早朝にかけて切迫した保護者からの相談が殺到します。典型的な相談例として、次のようなケースが挙げられます。
「発症当日にA型と診断され、病院でゾフルーザを服用。翌日夕方には36度台まで下がり、すっかり安心していたところ、発症から3日目の夜に突然38度8分まで急上昇した。追加で抗ウイルス薬を飲ませるべきか、それとも薬に耐性ができて重症化しているのか」
このような当事者の声の背景には、「抗ウイルス薬=熱を完全に封じ込める特効薬」という根強い認識と、小児科受診時に「一時的に熱が下がっても、数日後にぶり返すことがある」という事前の説明(インフォームド・コンセント)を十分に受け取れていない医療コミュニケーションの隙間が存在します。
発症から2〜3日目に現れるタミフル服用後の二峰性発熱に直面した親は、「自分の看病に落ち度があったのではないか」「冷たい風に当ててぶり返させたのではないか」と自責の念に駆られがちです。しかし、現場の小児科医が異口同音に指摘するのは、「二峰性発熱は看病の失敗ではなく、小児の体がウイルスを排除しようと必死に戦っている正常な免疫プロセスの現れであることが大半である」という事実です。
ネット上の掲示板やSNSでは「再発熱したから別の抗ウイルス薬に変えてもらった」「解熱剤を大量に飲ませて無理やり下げた」といった個人の体験談が錯綜していますが、医学的根拠に基づかない自己判断はかえって病状の発見を遅らせるリスクを孕んでいます。