ドイツ国内に数ある古城の中でも、地形の険しさと美しさが極めて高い次元で融合しているのがホーエンツォレルン城です。シュヴァーベン・アルプスの独立峰「ホーエンツォレルン山」の頂に築かれたこの城は、中世の要塞としての防衛機能と、19世紀ネオ・ゴシック建築の優美さを併せ持っています。
特に秋から初冬にかけての早朝、周辺の谷に濃い霧が溜まることで発生するホーエンツォレルン城の雲海は、息をのむ美しさです。城そのものから見下ろす360度の大パノラマはもちろん、向かいのツェラー・ホルン(Zeller Horn)展望台から望む「雲海に浮かぶ孤高の城砦」の姿角は、世界中の写真家や観光客を惹きつけてやみません。
城内に足を踏み入れると、数々の至宝が訪れる者を迎えます。最大の見どころは、地下の宝物館に厳重に保管されているプロイセン王冠(カイザー・クローネ)です。142個のダイヤモンドと18個のサファイア、大粒の真珠で装飾されたこの王冠は、かつてドイツ帝国を統治したヴィルヘルム2世のために作られたものであり、帝国の栄華を今に伝えています。また、城内最古の建築遺構である15世紀の聖ミヒャエル礼拝堂や、一族の歴代当主の名が記された壮麗な「系譜の間」の天井画など、ドイツ古城観光のハイライトと呼ぶべき展示が凝縮されています。