騒動の震源地となったのは、2018年2月2日に動画配信サービスHuluで配信開始された子ども向けバラエティ番組『だい!だい!だいすけおにいさん!!』のシーズン2第17話です。番組内のコーナーソングとして発表された「あたし おかあさん だから」は、絵本作家ののぶみ(信実)が作詞を担当し、横山だいすけが優しいアコースティックサウンドに乗せて歌い上げる形式をとっていました。
公式リリースや制作者側は当初、「日々頑張る全国のママたちに寄り添い、共感と勇気を届ける応援歌」と位置づけていました。しかし、配信直後からTwitter(現X)を中心とするSNSでは称賛ではなく、強い拒絶感と怒りの声が爆発的に拡散したのです。
炎上の主たる原因は、楽曲に散りばめられた母親の生活実態と自己抑制の描写でした。曲中では、以下のような母親の日常が列挙されます。
- 朝ごはんを食べる時間がなく、子どもが残した冷めたごはんを食べる
- ヒールのある靴やおしゃれなワンピースを諦め、汚れてもいい服を着る
- 自分の好きなテレビ番組や夜更かしの趣味をすべて手放す
- 美容院にも行けず、自分のケアを後回しにする
これらの描写に続き、サビでは繰り返し「あたし おかあさん だから」「あたし おかあさん になれて よかった」というフレーズが反復されます。日常の不条理や我慢を「お母さんであることの喜び」によって帳消しにし、すべてを美談として昇華させる構成が、育児ストレスやワンオペ育児に追われる母親層の神経を逆撫でしました。