興味深いのは、カスタムのベースとなっている機種の顔ぶれだ。Appleが誇るプレミアムモデル「AirPods Max」のアルミニウム製イヤーカップや、ソニー(Sony)の「WH-1000XM5」のようなハイエンド機が、大胆にもデコレーションのキャンバスとして選ばれている。数万円から十万円近くする高級オーディオに、あえて接着剤やステッカー、チャームを施す行為。ここには明確な心理的シフトが存在する。
均質化された美しさを追求してきたコンシューマーエレクトロニクス産業に対する、ユーザー側からの強烈なカウンターカルチャーだ。誰もが同じ白いイヤホンやスペースグレーのヘッドホンを装着する光景への退屈さ。高価なプロダクトだからこそ、自分だけの色に染め上げたいという所有欲求が、ラグジュアリーとDIYの衝突という刺激的なビジュアルを生み出している。