アニメ第26話が放映された際、ファンの間で最も大きな衝撃をもって迎えられたのが「声」の演出でした。妖艶な美女の姿でありながら、声を担当したのは青年形態と同じく名優・関俊彦氏でした。
通常のアニメ作品であれば、女性化キャラクターには専属の女性声優をキャスティングするか、ピッチを極端に上げた加工を施すケースが一般的です。しかし音響監督の三間雅文氏とufotable制作陣は、あえて関俊彦氏の低く冷徹なトーンをそのまま採用しました。この采配には明確な演出意図が存在します。
もし可憐な女性の声で喋らせてしまえば、視聴者や下弦の鬼たちに対して「別人のキャラクター」という印象を与えてしまいます。あえて無機質で威圧感に満ちた男性ボイスをそのまま響かせることで、「外見がどれほど美しく変化しようとも、中身はあの絶対的捕食者・鬼舞辻無惨そのものである」という逃れられない絶望感を完璧に表現したのです。この心理的違和感(不気味の谷)が、シーンの緊張感を極限まで引き上げる結果となりました。