無脊椎動物でありながら、頭足類はイヌやカラスに匹敵する高度な認知機能を示します。インドネシアの海底に生息するメジロダコが、人間が捨てたココナッツの殻を半分ずつ両腕で抱えて持ち歩き、捕食者が現れると殻の中に隠れてフタを閉じる「道具の使用」が確認された例は世界に衝撃を与えました。
実験室における学習実験でも、複雑な迷路の脱出経路を数回の試行で記憶するだけでなく、透明なガラス瓶のスクリューキャップを内側・外側から回して開ける問題解決能力が実証されています。観察学習の能力も高く、他の個体がエサ箱のロックを解除する様子を見るだけで、自分も即座に同じ動作を成功させます。
近年の睡眠研究では、タコが休息中に体色を激しく変化させ、眼球を細かく動かす「レム睡眠様状態」を示すことが確認されています。これは人間でいう「夢を見ている状態」に近い神経活動であり、日中に経験した記憶の整理や神経回路の再編を行っている可能性が濃厚視されています。