そもそも、本来は台湾原産であるクリハラリスの亜種が、なぜ日本の首都圏近郊でこれほどまでに勢力を拡大したのか。歴史を遡ると、昭和初期に観光施設や遊園地から逃亡した個体が野生化したことが発端とされる。
環境省は2005年、生態系や農林水産業、人の生命・身体に重大な影響を及ぼす恐れがあるとして、本種を外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定した。飼育や譲渡、野外への放出は法律で厳しく禁止されている。だが、その指定をもってしても繁殖の勢いは止まらなかった。
彼らの強みは、極めて高い環境適応能力にある。雑食性で、木の実や昆虫、鳥の卵や雛に至るまで何でも口にする。さらに、年に複数回の繁殖が可能という驚異的な増殖力を誇る。日本固有のニホンリスが繊細な森林環境を好むのに対し、この外来リスは都市部の公園や住宅街の庭木にすら適応し、急速に人間社会の隙間へと進出を果たしたのだ。