SNSや検索エンジンで7月の誕生花を調べていると、「7月の誕生花 怖い意味」「贈ってはいけない危険な花」といったセンセーショナルな見出しを目にして胸がざわついた経験を持つ方もいるはずです。結論から申し上げれば、日常的な贈り物として流通している7月の主要な花に、呪いや悪意を込めたような実害のある花言葉はほぼ存在しません。しかし、ネット上で特定のネガティブな単語が切り取られ、一人歩きしているケースは厳然として存在します。
代表的な事例が百合(ユリ)を巡る噂です。白百合は聖母マリアの純潔を象徴する高貴な花ですが、黄色いユリには「偽り」「不安」、オレンジのユリには「軽蔑」という裏の花言葉が割り振られていることがあります。これは、中世ヨーロッパの宗教画において、イエスを裏切ったイスカリオテのユダが黄色い衣服をまとって描かれることが多かった色彩心理や偏見が、ビクトリア朝の花言葉本に反映された歴史的遺物です。
さらに顕著なのが、7月の日別誕生花の一部に登場するキョウチクトウ(夾竹桃)です。排気ガスや大気汚染に強く、真夏の街路樹として鮮やかな花を咲かせる植物ですが、花言葉には「危険」「注意」「油断大敵」という物々しい単語が並びます。この背景には象徴的な神話ではなく、植物学的な事実があります。キョウチクトウは葉、茎、根、花果の全草に「オレアンドリン」と呼ばれる極めて強力な強心配糖体(毒性成分)を含んでおり、古くから誤食事故に対する警戒を促す目的で警告的な花言葉が与えられました。現代の生花店でギフト用の切り花として並ぶことはまずありませんが、知識を持たないまま野生の花を摘んでプレゼントするような行為は厳禁です。
また、池に浮かぶ姿が幻想的な睡蓮(スイレン)に対して「滅亡」という怖い意味があるという言説も散見されます。これもドイツの民間伝承において、水辺に咲く美しい花に誘い込まれて溺死する若者の物語(妖精ニクス伝説)が混ざり合った結果であり、日本国内で一般的に通用している花言葉は「清純な心」「信頼」「純情」という極めて清廉なものです。
フラワーギフトにおける怖い意味を持つ花言葉への注意点として、最も大切なのは「花言葉は多面的なものである」と認識することです。花言葉の多くは西洋の文学や伝説、見た目の特徴など複数の文脈から派生しており、1つの花にポジティブな意味とネガティブな意味の両方が同居している例は珍しくありません。悪意のない贈り主が余計な心配を抱かないためにも、プレゼントを渡す際には後述するメッセージカードの添え書きが決定的な役割を果たします。