木のストローが世に出るきっかけとなったのは、2018年に世界中で巻き起こった海洋プラスチック問題の議論でした。しかし、住宅メーカーである株式会社アキュラホーム(現AQ Group)の広報担当者・西口彩乃氏が着目したのは、海の問題だけでなく「日本の山の危機」でした。
日本は国土の約3分の2を森林が占める森林大国ですが、安価な輸入木材の普及によって国産材の需要が低迷し、手入れが放棄された人工林が全国で深刻化していました。山を健全に保つためには、密集した木々を間引く「間伐」が不可欠です。ところが、切り倒された「間伐材」は運び出すコストが見合わず、山林に放置されるケースが後を絶ちませんでした。放置された間伐材や手入れ不足の森は根を張れず、近年の豪雨時に大規模な土砂崩れや流木被害を引き起こす主因となっていたのです。
「住宅を建てる企業として、森の循環を守らなければならない」。当時の特番インタビューや自著・手記において西口氏が語った「山を守ることが、結果として海を守り、人々の暮らしを守ることにつながる」という強い問題意識こそが、開発の原点でした。この実話は大きな感動を呼び、堀田真由氏主演でフジテレビ系にてドラマ『木のストロー』として映像化され、多くの視聴者に知られることとなりました。