ネット上に氾濫するレシピ情報の中には、生化学的な観点から見て推奨できない俗説がいくつか定着してしまっています。代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
一つ目は、「チューブ入り生姜でも生の生姜と同じ配合で良い」という誤認です。市販の生姜チューブにはソルビトールや増粘剤、酸化防止剤が含まれており、加熱した際の水分蒸発率や辛味の立ち方がすりおろし生姜とは大きく異なります。チューブを使用する場合は、生のすりおろし生姜よりも約1.3倍多めに加えるか、最後に「追い生姜」として少量足すことで香りの不足をカバーできます。
二つ目は、「タレは煮詰めれば煮詰めるほど旨味が濃縮されて美味しくなる」という思い込みです。糖分とアミノ酸が結合するメイラード反応は適度であれば芳醇な香りを生みますが、煮詰めすぎるとタレの粘度が高くなりすぎ、肉表面のタンパク質を急激に収縮させてしまいます。照りが出た直後の10〜15秒で火を止める判断が不可欠です。