天王寺動物園のゾウいない理由は?不在の真相と2026年最新動向を追う

天王寺動物園のゾウいない理由は?不在の真相と2026年最新動向を追う

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天王寺動物園におけるゾウの歴史は、激動の昭和から平成の大阪を映し出す鏡そのものでした。とりわけ市民の記憶に深く刻まれているのが、戦後まもない1950年にタイから来園したアジアゾウの「春子」と、1970年大阪万博の親善大使としてインドからやってきた「ラニー博子」の2頭です。

春子は、戦時中の猛獣処分という痛ましい過去を経て傷ついた市民に夢と希望を運んだ復興の象徴でした。2014年7月30日に老衰のため国内歴代2位となる推定66歳で大往生を遂げるまで、60年以上にわたり大阪の歴史を見守り続けました。最晩年は立ち上がることが困難になりながらも、飼育担当者たちが大型クレーンやベルトで懸命に寝返りを打たせ、最後の瞬間まで寄り添い続けたドキュメントは全国的な涙を誘いました。

春子の亡き後、最後の1頭として孤軍奮闘したのがラニー博子でした。愛らしい仕草で親しまれましたが、2017年秋頃から右前脚の関節炎が悪化。自重を支えることが難しくなり、2018年1月25日、起立不能に陥って推定48歳で心不全により死亡しました。当時の担当課長は報道陣の前で声を詰まらせ、「大阪の子どもたちに半世紀近く夢を与え続けてくれた。感謝の言葉しかない」と沈痛な面持ちで語りました。この日をもって、天王寺動物園からゾウの足音が永遠に途絶えることとなったのです。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。