「山が育てる自然薯は、一本一本まったく表情が違います。土の質、雨の量、掘り起こす時期。その日の芋の状態を見極めて、出汁の温度や合わせるタイミングを秒単位で変えています」と語るのは、厨房を一人で仕切る店主・料理人だ。
厳冬期に自ら山に入り、泥だらけになって掘り出すという極上の自然薯。その泥臭いまでの情熱こそが、チェーン店や安易な模倣を許さない味の土台となっている。効率化とコスト削減が叫ばれる現代の飲食・外食産業において、あえて非効率な手仕事と対峙し続けるその姿勢には、職人としての矜持が満ちている。