新宿三井ビルが竣工を迎えたのは1974年(昭和49年)9月のことでした。地上55階、地下3階、最高部高さ約225メートル。当時としては、同じ西新宿に先行して建設された新宿住友ビル(約210メートル)を抜き、日本一の高さを誇る巨大建築物として日本中から大きな脚光を浴びました。
設計を手掛けたのは、日本を代表する組織設計事務所である日本設計と三井建設(当時)の共同体です。黒と濃紺を基調としたガラスカーテンウォールに、両サイドのX形ブレース(斜めに入った耐震筋交い)が剥き出しになった外観は、地震国・日本における構造美の極致として建築関係者の間で今なお語り草となっています。当時の構造設計資料や関係者の記録によれば、超高層ビル特有の長周期地震動を低減させるため、当時最先端の制震・耐震技術が惜しみなく投入されました。
半世紀を経て周囲に東京都庁舎(243メートル)やパークタワーなどの新しい超高層ビルが林立した現在も、端正でシャープなプロポーションは色褪せることがありません。ビルの足元に設けられた広大なオープンスペース「55HIROBA(55広場)」とともに、昭和から令和に至る東京の都市開発史を語る上で欠かせない金字塔です。