マッスル北村さんの死を巡っては、インターネットや週刊誌で「現代日本で餓死した男」というセンセーショナルな見出しが一人歩きすることがあります。しかし、この表現には大きな誤解と事実の乖離が含まれています。
一般的な意味での餓死とは、食べるものがなく栄養全般が枯渇して衰弱死することを指します。一方、北村さんの身体には100kg前後の凄まじい筋肉組織が維持されていました。食事を完全に絶っていたわけではなく、タンパク質やサプリメントは摂取していたものの、皮下脂肪を0%に近づけるために「糖質(炭水化物)」のみを極限まで排除していたのです。
医学的に見れば、これは飢餓による全身衰弱ではなく、重篤な医原性・作為的低血糖症に伴う急性心停止です。体脂肪がほぼ枯渇した状態では、肝臓に蓄えられるグリコーゲンも底をつきます。緊急時に糖を補給する手段を自ら断っていたため、血糖値が測定不能レベルまで急降下し、意識を失ったまま心停止に至るという、過酷なスポーツ医学的事故でした。