村西とおるの伝説を語る上で欠かせないのが、総額約50億円にのぼる負債の顛末です。アダルトビデオ制作会社「ダイヤモンド映像」で年商数十億円を叩き出し、ロールスロイスやヘリコプターを乗り回していた彼を奈落の底へ突き落としたのは、当時黎明期だったCS衛星放送事業への巨額投資でした。
国からの事業認可が下りず、莫大な設備投資と放送権料がそのまま焦げ付いたことで、1992年に会社は事実上の倒産に追い込まれます。日々の利息だけで数千万円が膨らみ、苛烈な取り立てに追われる極限状態に陥りました。この天文学的な借金について、本人の回想や関係者の証言によると、全額を現金で完済したわけではなく、法的な自己破産手続き、所有資産の競売・処分、債権者との粘り強い交渉を組み合わせる形で長い年月をかけて整理されました。
数多の借金取りや裏社会の圧力に対し、村西は一切逃げ隠れすることなく対面で渡り合い、「命までは取れない」とばかりの胆力で返済猶予や債権放棄を取り付けたエピソードは語り草となっています。現在の資産や年収については、往年のような巨財はないものの、書籍の印税、映像関連の二次使用料、メディア出演料や講演料などにより、個人として自立した安定的な生活基盤を維持していると見られます。