劇的な復帰以降、歌舞伎座の客席を何度も涙させたのが、福助と児太郎による親子共演だ。『連獅子』や古典の諸作において、身体的な制約を抱える父を児太郎が絶妙な間合いでフォローし、父は眼光と佇まいだけで圧倒的な存在感を放つ。そこには単なる演技を超えた、生命の対話が存在する。
この親子の熱演は、地上波のNHK文化番組や配信サービスである歌舞伎オンデマンドを通じて、日本全国のファンへ届けられた。画面越しにも伝わる二人の息遣いと互いを思いやる視線は、伝統芸能が持つ人間味あふれる感動を多くの人々の胸に深々と刻み込んでいる。