「かぐや姫」という存在は、日本人にとって特別なノスタルジーと神秘性を秘めている。平安初期に生まれたとされる『竹取物語』のヒロインは、月からの使者に導かれる儚くも神聖なイメージであり、伝統的な和風ファンタジーの原点と言える。重厚な十二単や引きずりの打掛、流れるような黒髪は、和装コスプレにおける最高峰の難関として長年立ちはだかってきた。
一方で、現代のサブカルチャーシーンを激震させたもう一つの「かぐや」が存在する。集英社の『週刊ヤングジャンプ』で連載され、爆発的なヒットを記録した赤坂アカによる漫画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』だ。秀知院学園の生徒会副会長・四宮かぐやは、名門財閥の令嬢という気品と、恋愛の駆け引きに翻弄される可愛らしさを兼ね備えた、現代学園ラブコメディの象徴的キャラクターである。
古典の伝承姫と、現代の学園令嬢。一見対極に見える二つの存在だが、凛とした気高さと陰のある美しさという共通項が、レイヤーたちの創作意欲を激しく刺激している。古典装束を忠実に再現する本格派から、ブラックの制服に真っ赤なリボンを配したモダンなスタイルまで、表現の領域はどこまでも広がり続けている。