肩の奥に走る激痛の正体とは?肩甲下筋が招く拘縮と巻き肩の真相

肩の奥に走る激痛の正体とは?肩甲下筋が招く拘縮と巻き肩の真相

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肩甲下筋に異常が生じると、なぜ耐えがたい激痛が発生するのでしょうか。その最大の要因は、現代人の姿勢崩壊に伴う「筋短縮と組織の癒着」です。パソコンやスマートフォンの操作が日常化した環境では、両肩が前方へ突出する「巻き肩」の姿勢が固定化します。この姿勢は解剖学的に上腕骨が内旋位を維持し続ける状態であり、肩甲下筋は常に縮こまった状態で過剰な負荷を強いられます。

縮んだ筋肉内には血流障害が生じ、やがて筋硬結(トリガーポイント)が形成されます。この状態で腕を外側に開こう(外旋)としたり、頭上に挙げようとすると、伸張性を失った肩甲下筋が上腕骨頭を前方上方へと異常に突き上げます。その結果、烏口突起と上腕骨頭の間で組織が衝突する「烏口下インピンジメント」や「肩関節インピンジメント症候群」が引き起こされ、神経を締め付けるような電撃痛が走るのです。

さらに深刻なのが、いわゆる四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)における「肩甲下筋の拘縮」です。肩関節周囲の炎症が慢性化すると、肩甲下筋と上方支持組織(腱板疎部)や烏口上腕靭帯との間で線維性の癒着が進行します。臨床現場において、拘縮期の患者に見られる顕著な「他動的外旋制限(他人に腕を外側に広げてもらってもビクとも動かない状態)」の主因は、まさにこの肩甲下筋の不可逆的な線維化にあることが近年の研究で立証されています。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。