「仕事が忙しいから」と放置されがちな蓄膿症ですが、慢性化した副鼻腔炎が自然治癒することは極めて稀です。急性期の初期であれば免疫力で押し戻せる場合もありますが、膿が溜まり換気ルートが遮断されると、粘膜の自浄機能(線毛運動)自体が破壊されてしまい、悪循環から抜け出せなくなります。
初期対応として薬局で手に入る市販薬を活用する選択肢もあります。蓄膿症向けの代表的な市販薬としては、小林製薬の「チクナイン」(生薬製剤の辛夷清肺湯/しんいせいはいとう)が広く知られています。辛夷清肺湯は、鼻の粘膜の炎症を鎮め、膿の排出を促す漢方処方であり、比較的初期の副鼻腔炎や鼻づまりに対して穏やかな改善効果が期待できます。即効性を求めて血管収縮薬入りの点鼻薬を連用する人もいますが、長期間使い続けると逆に粘膜が肥厚して薬剤性鼻炎を併発するため、数日以上の常用は避けなければなりません。
一方で、病院で処方された抗生物質を飲んでも一向に効かないという相談が後を絶ちません。その背景には主に3つの明確な要因が存在します。
第1に、原因がウイルス性である場合です。風邪初期のウイルス感染に対して細菌を殺す抗生物質は全く効果がありません。
第2に、抗生物質の乱用による耐性菌の出現です。ペニシリン系やマクロライド系などの抗菌薬に耐性を持った細菌が原因の場合、標準的な投薬では菌を死滅させられません。
第3に、後述するアレルギー性の特殊な病態(好酸球性副鼻腔炎)である場合です。この場合、細菌感染が主因ではないため、抗菌薬をいくら追加投与しても効果は得られません。