だが、誰もが快適な座席を望む一方で、朝のピーク時に全員がクロスシートに座ろうとすれば車内は一発で破綻する。通路が狭くなり、乗降に時間がかかって遅延の原因になるからだ。ここに、現代の交通インフラ事業が直面する最大のジレンマが存在する。
国土交通省が発表する混雑率のデータを指標にしつつ、鉄道事業者は極限のバランス感覚を求められている。そこで登場したのが、朝の最混雑帯にはロングシートとして運用し、夕方や夜間の有料着席列車、あるいは日中の時間帯には座席を90度回転させてクロスシートに切り替えるデュアルモード型車両だ。輸送効率と乗客の快適性という相反する課題をクリアするこのアイデアこそ、混雑対策の最新解と言える。