このパフォーマンスが爆発的な広がりを見せた最大の転換点は、スーパースター・大谷翔平ペッパーミルパフォーマンスの電撃的なお披露目でした。2023年3月6日、京セラドーム大阪で行われた阪神タイガースとの強化試合。大谷選手は膝をつきながら驚愕の3ランホームランを放った直後、三塁を回る途中で満面の笑みを浮かべ、両手で力強くミルを回すジェスチャーを披露したのです。
当時、日本代表に初招集されたヌートバー選手は、日本語もおぼつかず、孤立やプレッシャーに直面しても不思議ではない状況でした。しかし、チームの絶対的支柱である大谷選手やダルビッシュ有選手が率先して彼のトレードマークを受け入れ、全選手で共有した事実が侍ジャパン結束の真相を物語っています。組織心理学において、新参者を迎え入れる際に用いられる「共通の身体的儀式(インクルージョン・リチュアル)」が、驚くほど自然な形で機能した好例です。
なお、ファンや子どもたちの間で真似されたペッパーミルポーズのやり方は極めてシンプルです。
- ステップ1:左手を下にして軽く握り、胡椒を挽く土台の容器を作る(胸の高さで固定)。
- ステップ2:右手を上に構え、親指と人差し指・中指でミル上部のハンドルを握るイメージを作る。
- ステップ3:手首を利かせながらリズミカルに右手(または両手)をグリグリとひねり、満面の笑みで仲間と視線を合わせる。
道具を一切必要とせず、老若男女がその場で一瞬にして一体感を共有できるフィジカルな手軽さも、社会現象化を後押しした決定的な要因でした。