赤ちゃんの平熱は大人よりもやや高めの36.5度〜37.5度程度ですが、ウイルスや細菌が体内に侵入すると、脳の視床下部にある体温調節中枢が「体温の設定温度(セットポイント)」を一気に38度〜40度へと引き上げます。これこそが発熱の始まりです。
侵入した病原体と戦う免疫細胞を活性化させるため、身体は急速に熱を作り出し、同時に熱を体外へ逃がさないよう防御態勢に入ります。このとき自律神経の働きによって手足の末梢血管がギュッと収縮し、血液が内臓や脳などの体幹部に集中します。その結果、胴体や頭部は38度以上の高熱になっているにもかかわらず、血液の巡りが一時的に減った手足の先だけが冷たくなるという現象が起こります。
この赤ちゃん発熱手足冷たい理由を理解していないと、「熱があるから急いで冷やさなければ」と誤認してしまいがちです。発熱初期には寒気から小刻みに身体を震わせる「シバリング」が見られることもあります。唇や爪の色が紫色になる発熱初期寒気チアノーゼを伴う場合も、血流が中心部に集まっている過渡期の一環であることが多いですが、呼吸状態や意識の確認は欠かせません。手足が冷たい間は、身体が懸命に熱を上げようと戦っている最中であると捉えるのが小児医学の基本です。