表舞台を退いた後のパンくんに訪れた最大の転機は、新しい家族の誕生でした。カドリー・ドミニオンで同居していたメスのチンパンジー「ポコちゃん」との間に、2015年9月22日、第一子となるメスの赤ちゃん「プリンちゃん」が誕生したのです。
初産だったポコちゃんが育児に戸惑いを見せたため、プリンちゃんは宮沢トレーナーの手によって人工哺育で大切に育てられました。プリンちゃんは父譲りの聡明さと愛嬌を受け継ぎ、成長するにつれてカドリー・ドミニオンの新たな人気者として多くの来園者を魅了する存在となりました。
パンくんは現在、ガラス越しや専用のスペースからプリンちゃんの成長を見守り、父親としての落ち着いた佇まいを見せています。かつて人間に育てられ、人間の服を着て生活していたパンくんが、自らのルーツであるチンパンジーとしての血筋を次の世代へと無事に繋いだことは、動物園の飼育史・繁殖プロジェクトの観点からも大きな意義を持つ出来事でした。