日本国内で空前のメガヒットを記録した最大の功労者とも言えるのが、卓越した技術と感情表現を見せた日本語吹き替え版のキャスト陣です。特にアナの幼少期から少女期への移り変わりを描いたシーンでは、複数の子役声優による奇跡的なアンサンブルが実現していました。
劇中歌「雪だるまつくろう」において、ドアの鍵穴に向かって愛らしく語りかける5歳頃の幼少期アナを演じたのは稲葉菜月です。当時わずか数歳でありながら、息遣いひとつに至るまで計算された無邪気な歌声とセリフ回しは、劇団四季や映画関係者からも絶賛を受けました。幼さの中に宿る純粋無垢な響きは、世界各国の吹き替え版と比較しても際立った完成度を誇っています。
続いて、廊下を自転車で乗り回し、時計の針の音を真似て絵画のジャンヌ・ダルクに語りかける9歳頃の少女期アナを演じたのが諸星すみれです。子役時代から劇団ひまわりで磨き上げられた圧倒的な演技力を持つ諸星は、感情が揺れ動き始める少女の寂しさと明るさを瑞々しく表現しました。彼女はその後、数々のアニメ作品で主役を務めるトップ声優へと飛躍を遂げ、2026年現在も第一線の声優・アーティストとして確固たる地位を築いています。
さらに、2019年公開の『アナと雪の女王2』で冒頭に登場する幼少期のアナを担当したのが、名子役として名高い新津ちせです。音楽ユニット「Foorin」のメインボーカルとしても社会現象を巻き起こした新津は、父親である新海誠監督の娘というバックボーンを感じさせない類稀な表現力で、前作のテイストを受け継ぎつつ、さらに好奇心旺盛で生き生きとした幼少期アナを見事に演じ切りました。成長とともに実力派若手女優へと進化した彼女の足跡は、ディズニーキャスティング陣の審美眼の鋭さを証明しています。