かつての女子プロレスは、柔道や空手などのバックボーンを持つ体育会出身者が主流でした。しかし現在では、女子プロレスラーにアイドル出身や芸能経験者が参入するケースが確実に増加しています。
この変化の背景には、女性表現者たちの自己実現に対する意識の変化があります。所属事務所の指示通りに笑顔を振りまく「消費されるアイドル」としての枠組みから抜け出し、「自らの肉体と言葉で運命を切り拓くアスリート」になりたいという欲求です。ある元タレントのレスラーは、専門誌の取材で次のように心情を明かしています。
「芸能界では代わりがいくらでもいると感じていました。でもリングの上では、流した汗も受けた痛みもすべて私だけの真実です。誰も私の代わりになれない場所を見つけられました」
華やかな世界を知っている彼女たちだからこそ、カメラの向けられ方やSNSの魅せ方(Instagramの活用や写真集のクオリティ)に長けています。そのセルフプロデュース能力と、逃げ場のないリングで培われた胆力が掛け合わさることで、現代特有の強靭なタレントレスラーが誕生しているのです。