『まちぶせ』の大ヒットによって、石川ひとみさんは1981年末の『第32回NHK紅白歌合戦』に悲願の初出場を果たしました。ステージ上で涙を浮かべながら熱唱した姿は、多くの視聴者の胸を打ち、名実ともにトップシンガーの座を確立した瞬間でした。
しかし、栄光の先に待っていたのはあまりにも過酷な試練でした。1987年、27歳のときにB型肝炎を発症。当時は疾患に対する社会的な理解や正しい知識が乏しく、不当な偏見や心無い噂に晒される中で、一時は芸能界引退の危機に直面しました。
重度の倦怠感と闘いながらの入院生活、そして退院後も続いた差別的な視線。その絶望的な状況を支え続けたのが、後に夫となるミュージシャンの山田直毅氏でした。音楽活動を通じて石川さんを精神的・技術的にバックアップし続けた山田氏と1993年に結婚。二人三脚で病魔に立ち向かい、見事にB型肝炎を克服しました。
闘病を乗り越えた石川さんは、自身の経験をもとに厚生労働省の肝炎対策推進協議会委員を務めるなど、医療啓発活動にも尽力。困難に屈せず前を向くその生き様は、ファンのみならず多くの患者や医療従事者に勇気を与え続けています。