採取当日に体調や排便リズムが崩れてしまった場合、状況に応じた医学的知見に基づく柔軟な対応が求められます。焦って不適切な採取を行う前に、以下の対処基準を確認してください。
1. 検便が出ないときの対処法
提出期限が迫っているにもかかわらず便意が訪れない場合、まずは起床直後に冷たい水や牛乳を200ml程度一気に飲み、腸の「胃・結腸反射」を促すのが自然なアプローチです。また、朝食に食物繊維豊富なオートミールや海藻類を摂り、腹部を「の」の字を描くようにマッサージすることも効果的です。それでも出ない場合、食中毒検査などの特殊な指示がない限り、酸化マグネシウム系などの市販の便秘薬・下剤を服用して排便しても検査結果に大きな影響はありません。
2. 検便時に下痢をしている場合
水様便や軟便の場合、検査の目的によって判断が分かれます。O-157やサルモネラ菌などを調べる「腸内細菌検査」であれば、下痢便そのものに菌が高濃度に含まれている可能性があるため、液状の便をスティック先端に浸して保存液に混ぜて提出しても検査可能です。一方、大腸がん検診(便潜血検査)の場合、急性腸炎による粘膜の炎症出血を拾ってしまい、がんとは無関係に陽性となる可能性があるため、可能であれば体調が回復してから採取するか、問診票に「採取時下痢あり」と明記して提出するのが望ましい対応です。
3. 生理中の提出可否
生理中の検便提出は、大腸がん検診(便潜血検査)においては原則厳禁です。経血がわずかでも便に混入すると、検査試薬がヒトヘモグロビンに強く反応し、大腸疾患の有無にかかわらず「偽陽性」と判定されてしまいます。生理期間と重なった場合は無理に採取せず、健診機関に連絡して採取日の日程変更(後日提出)を依頼してください。なお、細菌検査(食品衛生関係)の場合は、経血混入を極力避けて採取できれば検査自体は受け付けられるケースが多いですが、事前に所属先や検査機関の規程を確認しましょう。