茶の文化館を訪れたなら、絶対に外せない体験が呈茶ホール「しずく亭」で提供される「しずく茶」です。使用される茶葉は、農林水産大臣賞の常連であり、地理的表示(GI)保護制度にも登録されている最高ランクの「八女伝統本玉露」。藁(わら)で編んだ覆いで茶畑を遮光し、手摘みで丁寧に収穫された極上の一品です。
しずく茶は、一般的な急須で淹れるお茶とは作法も味わいもまったく異なります。蓋付きの茶碗に直接茶葉が敷かれ、湯冷ましした低温の雫を数滴注ぎ、蓋をわずかにずらしてその「一滴」をすすります。
- 一煎目(凝縮の旨味):人肌ほどのぬるい湯で抽出されたわずか数滴。口に含んだ瞬間、出汁(だし)と見紛うほどの濃厚なアミノ酸の旨味と芳醇な香りが舌全体に広がります。
- 二煎目・三煎目(爽やかな渋みと甘み):少し湯の温度を上げながら注ぎ足すことで、玉露特有のまろやかな甘みと心地よい渋みのグラデーションを楽しめます。
- 四煎目・茶葉の完食:最後は残った柔らかな茶葉に酢醤油(またはポン酢)を垂らし、おひたしのように箸で丸ごと食します。伝統本玉露の極めて柔らかい新芽だからこそ成立する贅沢な締めくくりです。
「お茶は飲むもの」という固定観念を根底から覆すこの食体験は、一度味わうと生涯忘れられない鮮烈な記憶として多くの来訪者を魅了し続けています。