イチョウの葉を手にとって光に透かしてみると、網目状になっている一般的な広葉樹の葉脈とは全く異なる構造に気づきます。根元から先端に向かって一本の葉脈が二股に分かれ、それがさらに二股に分かれていく「二叉分枝(にさぶんし)」というパターンを描いています。
この二叉分枝はシダ植物などの原始的な植物に多く見られる特徴であり、ジュラ紀から姿を変えていない証拠の一つです。
秋が深まるとイチョウ並木は息をのむような鮮やかな黄色に染まります。この「黄葉(こうよう)」のプロセスは、モミジなどの赤い「紅葉」とはメカニズムが異なります。
春から夏にかけて、葉の中では光合成を行う緑色の色素「クロロフィル」が圧倒的に優位に立っています。しかし秋になり気温が下がり日照時間が短くなると、光合成器官の役割を終えたクロロフィルが急速に分解されていきます。すると、元々葉の中に存在していた黄色の色素「カロテノイド(ルテインなど)」が隠されることなく表面に現れます。赤色色素(アントシアニン)を新たに合成するモミジとは異なり、元々持っていた美しい黄金色が姿を現すのがイチョウの黄葉の仕組みです。