結論から述べると、英語圏の売店やレストランで「pet bottle」と発音しても、一般的な飲料用ボトルとしてはほとんど通じません。これには音韻認識と語彙の定着度という2つの明確な理由が存在します。
第1の理由は、ペットボトル英語発音における誤解です。日本語の「ペット」という発音は、英語の「pet(愛玩動物)」と完全に重なります。そのため、ネイティブスピーカーの耳には「ペット(犬や猫など)専用の水飲みボトル」や「動物の形をした玩具容器」のように聞こえてしまい、人間が飲む市販の清涼飲料水容器としては結びつきません。
第2の理由は、PETの意味英語としての学術的・産業的な位置づけにあります。PETとは化学物質名である「Polyethylene Terephthalate(ポリエチレンテレフタレート)」の頭字語(アクロニム)です。英語圏の製造業やリサイクル業界では確かに「P-E-T bottle(ピー・イー・ティー・ボトル)」というペットボトル英語表記や呼称が使われますが、これはあくまでB2Bの産業用語や素材表記に過ぎません。一般消費者が街中で飲料を指す際に「ポリエチレンテレフタレート容器をください」と言わないのと同様、日常会話で使われることは極めて稀です。
日本においては1977年に醤油容器として導入されて以来、素材名である「PET」と「ボトル」が合体し、独自のカタカナ語として一般家庭に普及しました。この歴史的経緯が、現代におけるペットボトル和製英語としての認識ギャップを生み出す最大の要因となっています。