本作は一見すると少女の成長物語ですが、その底流には濃密なダークファンタジーの要素が脈打っています。その中でカエルという生き物が象徴しているのは、底なしの「物質欲」と「自己保身」です。
油屋という場所は、金銭や欲望がうごめく現実社会のメタファーとして機能しています。青蛙が砂金に群がり、目を輝かせる姿は、資本主義的な欲望に翻弄される人間の愚かさを鏡のように映し出しています。欲望に飲まれた青蛙がカオナシと同化し、化け物へと肥大化していくプロセスは、ダークファンタジーとしての恐怖と、宮崎駿監督による鋭い人間観察が凝縮された名シーンと言えるでしょう。