百草園を単なる花の名所としてだけでなく、より深く味わうためにはその由緒ある歴史を知ることが欠かせません。この地は平安時代に創建された真言宗の名刹「真慈悲寺」の跡地と伝えられ、江戸時代中期の享保年間、小田原城主大久保忠増の正室であった寿昌院(徳川五代将軍・徳川綱吉の養母)が、夫の追悼のために慈岳寺として再建したのが京王百草園寿昌院歴史の始まりです。
寿昌院は園内に多くの梅を植樹させ、これが現在の百草園の基礎となりました。園内には寿昌院が信仰した「百草観音堂」が静かに佇んでおり、江戸時代の祈りの空間が今なお受け継がれています。また、園の中央に位置する茅葺き屋根の日本家屋「松連庵(しょうれんあん)」では、季節の花々を眺めながら歴史情緒に浸ることができます。
明治・大正期には多くの文人墨客がこの風雅な景観を愛し、松尾芭蕉の句碑(「山路来て 何やらゆかし すみれ草」)や若山牧水の歌碑が園内に残されています。標高約140mの見晴らし台に立てば、眼下に多摩川の流れが広がり、遠く新宿の高層ビル群やスカイツリー、空気が澄んだ日には富士山まで見渡すことができます。
散策を楽しんだ後は、京王百草園周辺ランチグルメを巡るのが王道の過ごし方です。駅周辺や園の近隣には、多摩の地場野菜をふんだんに使った手打ち蕎麦の名店や、古民家を改装した落ち着きのあるカフェ、手作りのジェラート店などが点在しています。特に散策後の疲れた体に染み渡る温かい蕎麦や、季節の和菓子を味わうひとときは、多摩丘陵散策の醍醐味と言えます。