モーニングの代名詞とも言えるのが、中京圏で磨き上げられたサービス精神の結晶だ。繊維産業が盛んだった愛知県一宮市や名古屋市周辺で、早朝から商談を行う機織り職人たちへのおもてなしとして誕生したこの文化は、いまや全国各地の朝を席巻している。珈琲1杯の注文に対してトーストや卵が無料で添えられる驚きは、当時の商売人たちの気概そのものだった。
この独自の地域文化を全国規模のスタンダードへと押し上げた立役者といえば、株式会社コメダホールディングスだろう。誰もがくつろげるリビングのような空間と、選べるモーニングサービスの明快さは、日本の外食産業において朝の勢力図を塗り替えた。ファストフードの朝メニューとは一線を画す、着席してゆったりと過ごすフルサービスの心地よさ。名古屋モーニングが提示した豊かさは、いまや日本人の朝の原風景として深く根付いている。