物語の核となるのは、1965年に伊豆沖を通過した伝説の大型台風「ジェーン」がもたらす大波を待つ若者たちの姿だ。サーフィンボードを傍らに置き、いつ来るとも知れない奇跡の一瞬を待つ。その気の遠くなるような「待ち時間」の中にこそ、彼らの青春のすべてが凝縮されている。
タイムパフォーマンスや即時性が最優先される2026年の社会環境において、この「ひたすら波を待つ」という行為は、かえって贅沢な救いに映るのかもしれない。スマホの画面をスクロールすれば一瞬で情報が手に入る時代だからこそ、潮風に吹かれながら何もない時間と向き合う登場人物たちの退屈と焦燥が、現代人の疲れ切った心に強く響くのだ。