ミリオンセラーを叩き出す編集者は、一体何を見ているのか。幻冬舎で数々の話題作を世に送り出してきた箕輪厚介の手法は、従来の出版不況の文脈をあっさりと跳ね返してきた。彼が主導した伝説的レーベル「NewsPicks Book」は、単に知識を売るメディアではない。読者を当事者に巻き込み、熱狂の渦へと巻き込む装置だった。
売れる本を作るのではない。ムーブメントを起こすのだ。この思想こそが彼の真骨頂と言える。タイトル決めから装丁、発売前のプロモーションに至るまで、SNS上の議論を巻き起こしながら共犯者を増やしていく。本を買うという行為が、特定の思想やコミュニティに参加するための「チケット」へと変化した瞬間だった。