ネット上のQ&AコミュニティやSNSでは、「穴あき病が出たから水槽の魚が全滅するのではないか」という不安の声が多く見られます。しかし、感染症疫学の観点から見ると、いくつかの重大な誤解が存在します。
誤解1:「穴あき病は白点病のように猛烈な感染力ですぐうつる」は間違い
「穴あき病 うつる 感染力が異常に高いのでは」と恐れられますが、エロモナス菌は多くの飼育水中に存在する「常在菌(日和見感染菌)」です。健康で粘膜がしっかり張っている個体には、同居していても感染・発症しません。つまり、白点虫のように健康な個体へ次々と寄生して全滅させるタイプの病気ではないのです。
ただし、同じ水槽の複数匹が同時に穴あき病を発症している場合、それは「うつった」のではなく、「水槽全体の環境悪化や水温急変によって、全個体の免疫力が一斉に低下した」ことを意味します。このシグナルを見誤ってはいけません。
誤解2:「本水槽に直接薬を入れれば全員一気に治る」という危険な罠
隔離の手間を惜しんで本水槽全体にエルバージュやグリーンFゴールドを投入すると、底砂やフィルター内に数億匹単位で生息する硝化バクテリアが一瞬で全滅します。その結果、翌日には猛毒のアンモニア濃度が危険域に達し、薬効どころか環境崩壊によって全個体が命を落とすという最悪の結末を招きます。治療は必ず隔離環境で行うのが大原則です。