この歪な構造の原点は、半世紀以上前、冷戦の狂気の中にあった。安倍氏の祖父である岸信介元首相と、教団創始者の文鮮明が結んだ強固な反共連帯。ここからすべてが始まった。
1968年に設立された「国際勝共連合」を媒介に、岸氏は教団の日本進出に政治的庇護を与えた。左派勢力の伸長に危機感を募らせていた保守政治家にとって、規律正しく無給で働く教団信徒は喉から手が出るほど欲しい選挙実動部隊だった。文鮮明側にとっても、日本の首相経験者の威光を後ろ盾にすることは、布教と巨額の資金集めを正当化する最大の免罪符となったのである。
祖父から父・安倍晋太郎、そして晋三氏へ。三代にわたって受け継がれた負の遺産は、時代とともに姿を変えながら、より巧妙かつ見えにくい形で自民党の血肉となっていった。冷戦が終結し、本来の反共という名分が色あせた後も、選挙利害という剥き出しの実利によってこの地下水脈は脈々と維持され続けた。