桝太一の故郷は、千葉県千葉市。海にも近く自然がほどよく残る閑静な住宅街で、彼は少年時代を過ごした。周囲の子供たちがサッカーや野球に熱中する中、彼が夢中になったのは足元の小さな生命だった。アサリの生態をじっと観察したり、蝶や昆虫の標本作りに没頭したりと、当時から筋金入りの生き物オタクぶりを発揮していたという。
近隣住民の証言や過去のインタビューによれば、彼の家庭は決して奇をてらった特別な英才教育を施していたわけではない。「知りたい」と思った問いに対して、決して子供騙しの答えで誤魔化さず、図鑑を開いて一緒に調べさせてくれる温かな環境が整っていた。この千葉市での日常が、後年の研究者精神の土台となったことは間違いない。