純文学と大衆小説の垣根を軽やかに飛び越え、数々のベストセラーを世に送り出してきた功績は、2006年の日本芸術院賞受賞、そして日本芸術院会員への任命という形でも公に称えられている。『優駿』や『錦繍』、『春の鐘』といった作品群は、文藝春秋をはじめとする出版文化のど真ん中で多くの読者を獲得し、読書という体験の豊かさを証明し続けた。
難解な前衛手法に逃げることなく、誰もが理解できる平易で美しい日本語を用いて、人間の深淵に横たわる業や宿業を描き切る。この極めて強靭なリアリズムと抒情性の共存こそが、宮本が戦後から続く正統派近代日本文学の正嫡と呼ばれる所以である。