結論から言えば、脳卒中とは単一の病名ではなく、脳の血管にトラブルが生じて生じる病気全体の「総称(大きなカテゴリー)」である。一方、脳梗塞はそのカテゴリーの中に含まれる「ひとつの具体的な病態」を指す。この全体と一部の関係性こそが、両者の根本的な違いだ。
循環器内科学や脳神経外科学の分野において、脳卒中は大きく二つのタイプに分類される。血管が詰まる「虚血性」と、血管が破れる「出血性」だ。脳梗塞は虚血性の代表格であり、動脈硬化や血栓によって脳の血管が遮断され、酸素や栄養が途絶えた脳組織が壊死していく病気である。日本脳卒中学会のデータによれば、国内における脳卒中患者の約7割以上を脳梗塞が占めている。
一方で、出血性の脳卒中には、脳の深い部分の血管が破裂する「脳出血」や、脳表面の主幹動脈にできた瘤(こぶ)が破裂する「蜘蛛膜下出血」が含まれる。つまり、脳卒中という巨大な傘の下に、血管が詰まる脳梗塞と、血管が切れる脳出血・蜘蛛膜下出血が存在しているという構造だ。病態によって治療法は真っ向から異なるため、病院到着後の迅速な画像診断が救命の鍵を握る。