映画『カイジ 人生逆転ゲーム』(佐藤東弥監督、興行収入約22.5億円のメガヒット作)において、物語序盤の最大の障壁として立ちはだかるのが山本太郎演じる船井譲次です。原作漫画における狡猾なキャラクターを、山本太郎は持ち前のエネルギッシュな肉体性と底知れない人間臭さで見事に実写へと昇華させました。今なおこの役柄が語り草になっている背景には、大きく分けて3つの要因が存在します。
第一に、「善人面の裏に潜む剥き出しの悪意」の表現力です。初対面のカイジに対して親身な兄貴分として近づき、警戒心を解かせた瞬間に冷酷に罠へ突き落とす豹変ぶりは、観客に強烈なトラウマとカタルシスを同時に植え付けました。
第二に、劇中における台詞の圧倒的なリズム感と語彙の説得力です。関西弁特有の軽妙さと、追い詰められた人間の醜悪さを声のトーンひとつで描き分ける技術は、同世代のバイプレイヤーの中でも群を抜いていました。
第三に、近年の動画配信サービスの普及に伴う再発見です。2020年代以降、定額制配信サービスで本作を初めて鑑賞したZ世代の視聴者が、現在の政治家としての姿とのギャップに衝撃を受け、SNSや動画プラットフォーム上で驚嘆の声を投稿する現象が定着しています。