定期試験や入試問題で最も正答率が下がるのが、「赤色系元素(Li・Ca・Sr)」の混同問題です。肉眼だけで見分けるのは熟練の化学者であっても極めて困難ですが、近年の入試ではその見分け方のプロセスそのものが問われます。
見分けの第1のアプローチは、教科書の正確な色彩表現の峻別です。カルシウムは純粋な赤ではなく「橙赤(とうせき)色」であり、オレンジ色が強く出ます。一方、リチウムは鮮烈な「赤色」、ストロンチウムはさらに深みのある「深赤色(紅)」です。ペーパーテストの記述でカルシウムを単に「赤」と書くと減点対象になるケースが多いため、厳密な用語を使い分ける必要があります。
第2の決定的な見分け方は、分光器を用いた線スペクトルの観察です。炎色反応の光をプリズムや回折格子(分光器)に通すと、元素特有の細い輝線(線スペクトル)に分離されます。
- リチウム(Li):670.8nmの赤い輝線が極めて強烈に1本現れ、青色領域(460nm付近)に極めてかすかな補助線が現れる。
- ストロンチウム(Sr):赤色域に複数の近接した線スペクトル群が存在し、さらに青色域(460.7nm)にも明瞭な輝線が同時に観測される。
さらに、試験の誘導問題で頻出するのが「水溶液の系統分離(化学的分析)」と組み合わせた識別法です。希硫酸(H2SO4)を加えたとき、Li+は沈殿を生じませんが、Ca2+とSr2+はそれぞれ硫酸カルシウム(白色沈殿)、硫酸ストロンチウム(白色沈殿)を形成します。物理的分光と湿式沈殿反応の二重トラップを見破ることが、最難関大攻略の生命線となります。