本事件の特異性は、犯行が単独犯ではなく、元交際相手とその血縁者、さらには知人の男らによる組織的な隠蔽工作を伴っていた点にある。逮捕されたのは、主犯格の男に加え、原田さんの元交際相手の女、その母親や親族を含む計5人。彼らは互いに連絡を取り合いながら、殺害後の遺体処理を役割分担していた。
警察の取り調べに対し、親族らは当初「脅されて手伝っただけ」「逆らえなかった」と主張し、互いに責任を押し付け合う供述を繰り返した。しかし、押収されたスマートフォンには、遺体の運搬経路やスーツケースの購入場所、スマートフォンの位置情報を偽装する手口を検索したログが克明に記録されていた。
血縁関係という強固な結びつきが、破滅的な隠蔽工作において最悪の結束力を生んでしまった。一人が手を染めた凶行を隠すため、家族総出でスーツケースを運び、冷たい多摩川へと遺棄する。理性を失った共同体の暴走が、破滅的な結末を招いた。