外袋を選び終えた後に立ちはだかる難関が、「文字の濃さ」と「中袋の書き方」です。ここでの作法を誤ると、せっかく正しい格の袋を選んでも教養を疑われる要因になります。
まず、不祝儀袋 表書き 薄墨 マナーの意義を理解しておく必要があります。通夜・葬儀の表書きや氏名は、墨をすって書く毛筆、あるいは薄墨専用の筆ペンを用いて、意図的に薄いグレーの文字で書くのが慣例です。これには古来、「突然の訃報に驚き、涙で墨が薄まってしまった」「急いで駆けつけたため、十分に墨をすることができなかった」という、故人を悼む深い悲傷の感情が込められています。ただし、四十九日以降の法要では悲しみが癒えたとされるため、通常の濃い黒墨で書くのが正統な作法です。
一方、香典袋の中に入っている「中袋(中包み)」の筆記には実務的な配慮が不可欠です。中袋の表面中央には包んだ金額を、裏面左下には会葬者の住所と氏名を明記します。ここで重要なのは、中袋の金額は改ざんや誤読を防ぐために漢数字の「旧字体(大字:だいじ)」を用いるのが伝統的な規範とされている点です。
現代では横書きの記入欄が印刷された中袋も増えており、その場合はアラビア数字(金3,000円等)で記入しても遺族側の事務処理において全く支障ありません。中袋の文字に関しては、受付係や遺族が集計・台帳記載を正確に行えるよう、「薄墨ではなく濃い黒ボールペンやサインペンで判読しやすく書く」ことが現場では強く推奨されています。