時速300kmを超える超スピードで獲物に真正面から激突すれば、作用・反作用の法則によりハヤブサ自身も粉々になりかねません。それにもかかわらず、なぜハヤブサは激突死や脳震盪を起こさず、無傷で獲物を仕留められるのでしょうか。そこには極めて高度なハヤブサの狩りの衝撃を逃す戦術が存在します。
最大の理由は、ハヤブサが獲物に「体当たり」しているのではなく、すれ違いざまに強靭な後ろ指の爪を「拳のように握り込んで掠めるように叩きつける」という点にあります。直撃を避け、標的の急所や翼の付け根に対して運動エネルギーを瞬間的に受け流すようにヒットさせるため、自身への衝撃反作用は極めて小さく抑えられます。
また、ハヤブサ自体の骨格構造も衝撃に耐えうる頑丈な仕様へと進化しています。強靭な胸骨とショックアブソーバーの役目を果たす発達した気嚢システム、そして厚い頭蓋骨が内臓や脳への衝撃波を分散・吸収します。これらが組み合わさることで、自らの肉体を破壊することなく、ターゲットにだけ致命傷を与える完璧な打撃を成立させています。
そもそもハヤブサが急降下する理由は、逃げ足の速い鳥類に対して「反撃や回避の隙を一切与えない」ためです。高高度という死角から突進することで、獲物が危険を察知した瞬間にはすでに勝負が決しています。