「目視で青く浮き出る血管が見当たらない」という場面で差がつくのが、触知技術と血管怒張の工夫です。採血で血管が見えない患者に対峙した際、腕を見るだけで探そうとするのは禁物です。優れた技術を持つ看護師は、目ではなく「指の腹の感覚」を頼りに、皮膚の下にある弾力性と走行を探り当てます。
血管を見極める具体的なアセスメント手順は以下の通りです。
- 指の腹で垂直に圧迫する:人差し指や中指の腹を使い、皮膚に対して垂直に優しく押し込み、指を離したときに跳ね返ってくる「弾力(ゴムチューブのような感触)」を感じ取ります。
- 血管の走行と深さを3次元で把握する:触知できたら、その血管がどちらの方向に伸びており、どの程度の深さにあるのかを指先で2点以上確認してラインをイメージします。
- 温罨法と下垂の併用:血管が出にくい場合は、ホットパックで温める、腕を心臓より低い位置に下垂させる、あるいは軽く手を握ってもらう(クレンチングはカリウム上昇を防ぐため数回にとどめる)ことで血管内圧を高めます。
血管の怒張状態を大きく左右するのが採血時の駆血帯の巻き方です。穿刺予定部位から約7〜10cm中枢側に巻き、動脈血を止めずに静脈血のみをしっかり鬱血させる適度な強さ(橈骨動脈の拍動が触れる程度)を維持します。駆血時間が1分を超えると血液濃縮や溶血の原因になるため、血管の選定をある程度定めてから手早く巻く段取りが求められます。