21_21 DESIGN SIGHTを訪れた者がまず圧倒されるのが、地面に向かって鋭角に傾斜する巨大なスチール折板の屋根です。この独創的なフォルムは、三宅一生が服作りにおいて提唱し続けた「一枚の布(A-POC)」の概念を、建築家・安藤忠雄が空間デザインとして翻訳したことから生まれました。
安藤忠雄は設計当時のインタビューや記録において、「日本のものづくりの精神を世界へ発信する拠点だからこそ、建築そのものが日本の極限の技術力を証明する存在でなければならない」という趣旨を語っています。屋根を構成する鋼板は、造船技術を有する日本の熟練職人たちが現場で精緻に溶接・曲げ加工を施したものであり、長大な一枚板が折り紙のように折れ曲がる圧倒的な幾何学美を実現させました。
さらに特筆すべきは、その空間構造の大胆な地下配置です。外観からはコンパクトな平屋建てのように見えますが、建物の延床面積の約8割は地下に埋め込まれています。六本木の中心にありながら広大な緑地が広がるミッドタウン・ガーデンの景観を損なわないよう配慮され、地下深くへ降りるにつれて外の喧騒が遮断され、自然光がトップライトから柔らかく差し込む静謐な思索空間が広がる構成になっています。