両種はともに日本全国の平地から低山地にかけて広く分布していますが、その好むミクロな生息環境(マイクロハビタット)には明確な棲み分けが見られます。
ニホントカゲは土中に潜る習性が強いため、適度に湿り気のある黒土や腐葉土、日当たりの良い石垣の隙間、庭石の下などを拠点とします。地中温度が上昇する午前中に石の上に出て日光浴を行い、危険を察知すると素早く土の中や岩の奥深くへ潜り込みます。
対照的にニホンカナヘビは立体的な空間利用が得意です。丈の低い草むらや庭の低木、ブロック塀の天面、フェンスの網目などを器用に登り歩きます。乾燥に比較的強く、トカゲほど土中へ潜る行動は見られません。
活動サイクルとしては、両種ともに11月中旬頃から翌年3月下旬〜4月上旬まで冬眠に入ります。トカゲは霜が降りない地下20〜30cm以上の深さまで潜って越冬し、カナヘビは枯れ葉の堆積層や石の隙間、倒木の下などで寒さをしのぎます。平均寿命は野生下で約3〜5年、外敵や飢餓のない適切な飼育環境下であれば7〜10年程度生きる個体も確認されています。
繁殖生態における最大の差異は「産卵後の母性行動」です。カナヘビのメスは土中や落ち葉の下に1回あたり2〜6個の卵を産み落とすと、そのまま立ち去ります。一方、ニホントカゲのメスは地中に産卵室を作り、卵が孵化するまでの約1ヶ月間、飲まず食わずで卵を抱き抱えて保護します。卵の表面を舐めてカビの発生を防ぎ、乾燥すれば水分を補給し、外敵が近づけば威嚇して守り抜くという高度な保護行動を示します。