バンクーバーでのフリープログラムで、浅田真央はショートプログラムと合わせて計3度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた。これは五輪史上初の快挙である。
結果は銀メダルだった。試合直後のインタビューで見せた、大粒の涙と「悔しい」という言葉。しかし、スコアシートに刻まれた数字以上の価値が、あの瞬間の彼女にはあった。守りの構成を選べば、もっと手堅くメダルを狙えたかもしれない。それでも彼女は、自分の信じる「最高難度のフィギュアスケート」を貫いた。その妥協なき挑戦心が、世界中の人々の心を揺さぶったのである。