スマホの画面をスクロールする。流れてくるのは、15秒の短い動画。しかし、そこで流れるメロディは、最新のJ-POPではない。地を這うような渋い低音と、あまりにも重い言葉の数々だ。今、10代から20代の若者の間で、昭和の歌謡曲をあえてカバーし、その歌詞の深さを競い合うようにシェアする動きが活発化している。
「タイパ」や「効率」を重視するデジタルネイティブたちにとって、かつてのスターが命を削るようにして歌い上げた世界観は、新鮮そのものに映るのだろう。記者が都内のライブハウスで取材した21歳の大学生は、「今の曲は共感を求めるものが多いけれど、この曲には『俺の生き様を見ろ』という圧倒的な覚悟がある。そこに痺れる」と熱く語った。